生成AIに入力した内容を学習に使わせないためには、利用する製品・契約を特定し、そのアカウントの学習利用設定を確認することが出発点です。同じサービス名でも、個人向けチャットと法人契約、APIでは条件が異なります。
また、「学習に使わない」「保存しない」「外部に送らない」は別の条件です。学習をオフにしても、処理のための送信や、不正利用対策のログ保存がなくなるとは限りません。
2026年9月6日時点の公式情報をもとに整理しました。
まず、自分が使っている契約を確認する
会社のメールアドレスで登録していても、法人向けの管理対象アカウントとは限りません。管理画面または契約担当者に、製品名・プラン・ログイン先・APIの課金プロジェクトを確認します。
| 利用形態 | 確認する場所 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 個人向けチャット | アカウントのデータ設定 | 有料でも法人向けと同じ条件とは限らない |
| 法人ワークスペース | 管理者設定と契約 | 個人ワークスペースへの切り替え |
| API | 契約、課金プロジェクト、機能別の保存条件 | 無料枠と有料サービスの区別、アプリ側のログ |
| 開発支援ツール | ツールと接続先モデルの両方 | ソースコード、実行結果、連携サービスへの送信 |
サービス別:学習させない設定と確認先
以下は2026年9月6日時点の確認内容です。画面の名称は言語や提供状況で変わるため、設定が見つからない場合は各公式案内と管理者設定を確認してください。
自社で入力してよい情報を、契約ごとに整理する製品名だけで判断せず、契約・学習利用・保存・送信先を分けて記録できます。社内の入力ルールづくりに使える、登録不要のシートです。AIに渡す情報と確認事項を整理する →Claude・Claude Code
個人向けのClaudeでは、プライバシー設定のモデル改善への協力を確認し、学習利用を許可しない設定にします。個人向け有料プランを使ったClaude Codeにも、この選択が関係します。Team・Enterprise・APIなど商用条件での利用は、データ提供プログラムなどに自ら参加する場合を除き、入力を生成モデルの学習に使わない方針です。Anthropicの個人向け説明・商用サービスの説明
Claude Codeはローカルで動かしても、モデルへの送信が発生します。端末内の会話記録や、利用者が送るフィードバックも別に確認が必要です。学習を許可しない設定だけで、端末やサーバーの保存がすべてなくなるわけではありません。Claude Codeのデータ取扱い
ChatGPT・OpenAI API
ChatGPTでは「設定 → データコントロール」で、モデル改善への利用をオフにします。履歴に残ることと学習への利用は別です。一時チャットも学習には使われませんが、安全上の目的で一定期間保持される場合があります。OpenAIのデータコントロールFAQ
OpenAI APIは、明示的にデータ共有を選択しない限り、入力・出力を学習に使わない扱いです。一方、不正利用監視ログは通常最大30日保持され、利用機能によってはファイルなどの保存もあります。Zero Data Retentionは対象条件や機能上の制約があるため、「APIなら保存ゼロ」と一括りにしないでください。OpenAI APIのデータ管理
Geminiアプリ・Gemini API
個人向けGeminiアプリでは「アクティビティの保存(Keep Activity)」を確認します。オフにした後の会話は、フィードバックを送る場合などを除いてモデル改善に使われません。ただし、サービス提供や安全対策のための一時的な保持はあります。Geminiアプリのプライバシー説明
Gemini APIは、無料サービスと有料サービスでデータ条件が異なります。有料サービスでは入力・出力を製品改善に使わない一方、無料サービスには改善利用の規定があります。地域による例外もあるため、課金が有効なプロジェクトか、どの地域・サービスの条件が適用されるかまで確認します。アプリの有料契約だけでAPIの条件が決まるわけではありません。Gemini API追加利用規約
GitHub Copilot
GitHubは2026年4月24日から、Free・Pro・Pro+のやり取りをモデル改善に利用する方針を案内しています。個人設定のCopilotにあるAIモデル学習への利用設定でオプトアウトできます。以前にオプトアウトしていた場合、その選択は引き継がれると説明されています。Business・Enterpriseはこの変更の対象外です。GitHubの公式告知
Cursor
CursorではPrivacy Modeの状態を確認します。有効時はコードを学習に使わない方針ですが、2026年8月28日更新の説明には、不正利用対策などに伴う保存の例外や、対象モデルに関する条件もあります。自前のAPIキーを設定しても、Cursorのバックエンドを経由する構成である点に注意してください。Cursorのデータ取扱い
業務で入力する前に確認する5項目
設定の確認だけで終わらせず、入力する情報と実際の使い方を並べて判断します。次は当社が検討用に整理した確認表です。
| 項目 | 記録すること | 不明な場合の進め方 |
|---|---|---|
| 入力情報 | 顧客情報、社内文書、ソースコードなどの種類 | 実データを使わず、テスト用データで試す |
| 利用条件 | 製品・プラン・学習設定・確認日 | 管理者または提供元の説明で確認 |
| 送信先 | AI提供元、連携ツール、外部検索 | 連携を追加する前に送信範囲を確認 |
| 保存 | 提供元、端末、自社アプリのログと削除方法 | 保存期間と管理担当を記録 |
| 社内・取引先との合意 | 利用を認める情報、承認者、契約上の条件 | 契約担当者に確認してから対象を広げる |
秘密保持契約がある資料は、学習不使用だけで利用可否を判断せず、契約上の情報共有条件を確認してください。案件ごとの契約解釈は、契約担当者や必要に応じた専門家の確認事項です。
開発支援ツールでは、APIキーや本番の顧客データを、そもそも作業環境に置かない構成も検討します。ファイルの除外設定だけを唯一の対策にせず、読み取り権限、連携先、実行コマンドから返る情報まで含めて整理することが大切です。
顧客に説明するための記入例
次は実案件の運用実績ではなく、説明文のひな形です。未確認の欄は未確認のまま残してください。
利用するAIは[製品・プラン]です。対象作業は[作業内容]、送信する情報は[情報の種類]です。学習利用は[条件・設定・確認日]、保存は[保存先・期間]です。[顧客の実データ/認証情報など]は対象に含めません。利用範囲を変える際の確認担当は[担当者]です。
「安全です」と一言で説明するより、何を使い、何を送るかを具体的に示すと、相手も判断しやすくなります。未測定の安全性や、実施していない監査を実績として書く必要はありません。
法人ワークスペースで管理者へ確認する表
個人の設定と法人の管理設定を混ぜないため、以下の契約を特定します。この表は全契約の条件が同じという意味ではなく、管理者への確認表です。
| 環境 | 確認する単位 | 残す記録 |
|---|---|---|
| ChatGPT Business・Enterprise | 利用中のワークスペース、接続機能、保存条件 | 契約名、管理者、確認日 |
| Claude Team・Enterprise | 商用条件、利用者、コネクタ、保存 | 契約名、許可範囲、確認日 |
| Google WorkspaceのGemini | 契約エディション、利用サービス、管理対象アカウント | 対象機能、管理者、確認日 |
| GitHub Copilot Business・Enterprise | 組織での割当、ポリシー、接続先 | 組織名、設定、確認日 |
たとえば同じ社員が会社のワークスペースと個人アカウントを使い分けている場合、業務用と認めた環境へログインしているかまで確認します。画面の設定がオン・オフでも、顧客資料の利用許可や保存条件の確認を省きません。
よくある質問
Q. Claudeは有料なら学習に使われませんか?
個人向け有料プランと商用契約は条件が異なります。個人向けではモデル改善への協力設定を確認してください。Claude Codeも、ログインしている契約の条件を確認します。
Q. 学習をオフにすれば機密情報を入力できますか?
設定だけでは判断できません。送信先、保存、アクセス権限、社内ルール、取引先との情報共有条件を確認したうえで、入力できる情報を決めます。
Q. APIを使えばデータは保存されませんか?
APIでも提供元の監視ログや、自社アプリ側のログが残る場合があります。学習利用と保存条件を分け、利用する機能ごとに確認してください。
学習させない設定を組織のルールとして定着させるには、AI事業者ガイドラインを社内ルールへで入力・確認・責任の整理方法を扱っています。
自社の利用条件を整理したい方へ
AIデータ取扱いの検討シートに、利用ツールと入力したい情報を書き出せます。AI相談用プロンプトも用意しています。プロンプトには顧客情報や秘密情報を貼らず、情報の種類と業務の概要を記入してください。
設定や契約に分からない点が残っていても大丈夫です。いまの利用状況から無料で相談するより、お気軽にお問い合わせください。
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