数百件の社内文書を検索対象として整備
自然言語での資料検索
社内文書用と資料検索用の2種類を構築
用途別の検索体験
文書追加・更新の運用フローを設計
継続更新の準備
概要
中小製造業の社内文書を対象としたRAG(Retrieval-Augmented Generation)システムを構築。数百件に及ぶ社内文書・資料を対象に、社内文書チャットボットと資料検索チャットボットの2種を実装した。マニュアル・手順書・規程類といった「業務上必要だが探しにくい」情報と、過去の報告書・議事録・技術文書といった「ナレッジ資産」をそれぞれ独立した検索体験として提供している。
製造現場の知識は属人化しやすく、ベテランの異動・退職とともに失われやすい。RAGによる自然言語検索により、文書資産を組織の共有財産として再活用できる状態を目指した。
技術構成
- フロントエンド: Next.js。社内ユーザー向けのチャットUIを構築
- AI: OpenAI API。回答生成と意味検索のためのEmbedding生成に使用
- オーケストレーション: Mastra。検索→整形→生成のマルチステップワークフローを管理
- インフラ: Azure。社内利用前提のセキュリティ要件に合わせたクラウド環境
- 構成方針: 社内文書用と資料検索用で索引を分離し、用途別に最適化
実装内容
- RAGパイプライン構築: 数百件規模の社内文書を対象に、ドキュメント取り込み・チャンク分割・ベクトル化・検索・応答生成の一連のパイプラインを実装
- 社内文書チャットボット: マニュアル・手順書・規程類を対象とした自然言語検索。「どの規程に書いてあるか」を即座に提示
- 資料検索チャットボット: 過去の報告書・議事録・技術文書を対象とし、関連資料を横断的に提示
- Azure環境構築: 社内利用前提のセキュリティ要件に合わせて、認証・ネットワーク・データ管理を設計
- 運用体制整備: ドキュメント追加・更新を継続的に取り込めるよう、運用フローを設計
背景
社内に蓄積された数百件の文書・資料が人力で管理されており、必要な情報を探すのに時間がかかっていた。検索の手がかりがファイル名やフォルダ構成に依存しており、過去の経緯を知る担当者でなければ目的の資料に辿り着けない状態が続いていた。
製造業特有の暗黙知や、長年の業務改善で蓄積された知見は、ベテラン社員の頭の中に集中している。組織の継続性を確保するには、これらを誰もが引き出せる形で整備する必要があった。
導入効果
- 社内文書を自然言語で検索できるようにし、資料を探す作業を支援
- 文書化された知識を、担当者以外も参照できる形に整理
- 新人が必要な情報を探せる窓口を整備し、教育・引き継ぎを支援
- 自然言語での問いかけが可能になり、検索キーワードを思いつかない初心者でも情報に到達可能
- 用途別に索引を分けたことで、業務文書とナレッジ資産を混同せず効率的に活用
- Azure環境で、社内利用に必要な認証・ネットワーク・データ管理を設計
本事例のような社内文書RAGの構築・精度改善は社内ナレッジRAGの構築・精度改善で対応しています。
ご検討時に確認していただきたいこと
本ページは実装内容を紹介しています。検索時間・教育コストの改善率や、その測定条件は掲載していません。RAGで検索対象にできるのは取り込んだ情報であり、文書化されていない技能まで自動的に共有できるものではありません。
社内利用と、外部サービスへのデータ送信の有無は別の確認項目です。本事例にはAPI利用が含まれます。新たに導入する際は、保存先・送信先・送信範囲・ログ・学習利用の扱いを個別に整理します。データ取扱いの確認シートと回答品質の評価表を検討にお使いください。